RSウィルスとは何か?

RSウイルス(レスピラトリー・シンシチアル・ウイルス、Respiratory Syncytial Virus)は、主に乳幼児や高齢者に重い呼吸器疾患を引き起こすことで知られているウイルスです。このウイルスは、冬から春にかけての季節に流行することが多く、感染すると、軽度の風邪の症状から、重度の下気道感染症である気管支炎や肺炎を引き起こす可能性があります。

乳幼児では、RSウイルス感染症は特に重症化しやすく、呼吸困難や喘鳴(ぜんめい)、食欲不振などの症状が現れることがあります。高齢者や免疫系が弱っている人々では、肺炎を引き起こしたり、既存の心肺疾患を悪化させるリスクが高まります。

RSウイルスは、咳やくしゃみによる飛沫、またはウイルスに汚染された手や物を介して容易に人から人へと伝播します。このため、手洗いの徹底やマスクの着用、人混みを避けるなどの予防措置が推奨されます。

現在、RSウイルス感染症に対する特定の治療法は存在せず、治療は主に症状の緩和に焦点を当てた対症療法となります。重症化した場合には、入院と酸素療法が必要になることもあります。

乳幼児における重症化予防のためのモノクローナル抗体による予防接種が一部の国では推奨されていますが、広く利用可能なワクチンはまだ開発中です。したがって、予防措置の徹底が非常に重要になります。