太陽と海風

むかしむかし、太陽と海風が仲良く暮らしていました。太陽は毎日、空高く昇って、大地を照らしてくれました。海風は、いつも海を吹き渡って、波を起こし、船を動かしていました。

ある日、太陽と海風は、どちらがより大切なのか言い争いになりました。

「私は、大地を照らして、生き物たちに光を与えている。だから、私はもっと大切だ」と、太陽は言いました。

「私は、海を動かして、船を動かしている。だから、私はもっと大切だ」と、海風は言いました。

二人は、言い争いを続けましたが、結論が出ませんでした。

そこで、二人は、ある試みをすることにしました。

「明日から、私が休んで、海風が働く。そして、海風が休んで、私が働く。どちらが、より大切なのか、それで決めよう」と、太陽は言いました。

翌日、太陽は休んで、海風が働きました。海風は、いつもより強く吹いて、海を荒れさせました。

大地は、太陽の光を失い、暗闇に包まれました。生き物たちは、寒さと飢えに苦しみました。

一方、海は、海風の強い吹き付けによって、大波が押し寄せ、船が沈没しました。

そして、次の日。太陽が働き、海風が休みました。太陽は、いつもより強く輝いて、大地を照らしました。

生き物たちは、太陽の光を浴びて、元気を取り戻しました。

そして、海も、海風がいないことで、穏やかになりました。

二人は、試みの結果を見て、どちらがより大切なのかを悟りました。

「どちらも、なくてはならない存在だ。太陽と海風は、共に働いて、世界を支えている」と、二人は言いました。

それ以来、太陽と海風は、仲良く暮らしました。