利用者に「あの人から渡された薬を飲んだら、気分が悪くなった」と言われたある介護職の話

はじめに

 

 介護職として働いていると「この世って本当に理不尽だよな…」と感じざるをえない場面に多く遭遇するわけです。

 

 それは利用者からの暴言のような口撃だったり、物理的な意味での攻撃、はたまた利用者の家族や医療関係者、そして上司からの現場を無視したお願いごとだったり。

 

 この中でも特に頻度が高いと個人的に思っているのが、利用者からの口撃です。

  

 今回は最近私が遭遇した利用者からの口撃をご紹介したいと思います。

 

朝食時の惨劇

 

 その惨劇は音をたてずに突然訪れました。その日は夜勤の明けでした。私を含め職員があくせくと利用者の起床を手伝い、食堂へ誘導をし終え、食堂で利用者の方と朝の挨拶を交わしているときでした。

 

 とある利用者が顔をムスっとさせながら、車いすを移動させながら私の方へやってくるではありませんか。

 

 私は「んっ?なんか様子が変だな…」と内心思いながらも、「〇〇さん、おはようございます」と営業スマイルを顔に浮かべながら挨拶をしたところ、突然その利用者が、「昨日、あんたから渡された薬を飲んだら、気分が悪くなったわ!!!どうしてくれるのよ!!!」とものすごい剣幕で怒鳴ってきたのです。

 

 「はっ?」と私は口に出しそうになったのですが、胸三寸に納めて「どういうことですか?」とこれまた営業スマイルで質問をしたわけです。

 

 その利用者によれば、昨日の夕食後に私がその利用者に服薬介助をした後、気分が悪くなった(気分が悪くなったかどうかは事実かどうかは不明)とのこと。

 

 たしかに、前の夕食後に服薬介助を私がしたのは事実です。しかし、誤薬をしたわけでもなく、しかも薬で何らかの弊害がでたのなら、私にはほぼ問題がないのです(その利用者が私を嫌っていて、服薬介助をされることすら嫌がっているというのなら、ひょっとすると私にも多少の問題があるのかもしれませんが)。

 

 まあ、その利用者はその後も私に対してぐちぐちと何らかの不満を言って5分ぐらい過ぎると、自分の席に戻っていったのでその場は修羅場とかさずに済んだんですけどね。

 

 こういう理不尽なことが介護の現場では日常茶飯事です。逆に言えば、この理不尽さに慣れる必要がありますし、慣れてしまうと精神的にラクっちゃラクなわけです。

 

おわりに

 

 今回は、介護現場における理不尽さの一事例を紹介しました。

 

 誤解してほしくはないのですけど、私はこの記事をとおして介護職のネガティブキャンペーンを誘発しようとしているわけではないのです。

 

 ただ、単純に介護現場の現実を知ってほしいだけなのです。介護に携わったことのない人々に。

 

 まあ、その現実をいくら知ったとしても、何も変化しないかもしれませんけどね。

 

 今回はこのへんで終わりにします。それでは。