スピーチロックをするなと言われても無理なんちゃいますの?という話

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いらすとや

はじめに

 

 この記事では、しばしば介護職の教科書で記されている「スピーチロックはしてはいけない」という悪魔の呪文が対応困難な理由を紹介します。

 

 というのも、先日、きらきら系上司にですね、「君ね、さっき利用者様に『ちょっと待ってください』って言ってたでしょ。それね、だめだから」ときつく言われたからなんですね。まあ、私はその時「はあ」と水木しげるの戦争を描いた漫画に出てくるやる気のない兵士みたいに答えたんですけど、後から振り返ると「スピーチロックをしないなんて無理じゃない?」と頭によぎったわけです。んなわけでこの記事を書いてうっぷんを晴らそうかなと。

 

 で、肝心な理由ですけど、今回は施設的な側面と利用者の側面から考えました。施設的な側面では「慢性的な人手不足」とし、利用者の側面からは「利用者の無理(過剰)な要求」としました。

 

 ってなわけで以下でスピーチロックが困難な理由を説明します。

 

スピーチロックが困難な理由

 

 慢性的な人手不足

 スピーチロックが困難な理由の第一は、慢性的な人手不足です。しばしば指摘されることですが、介護現場では人手が非常に不足しています。単純に考えれば、人手が不足しているということは職員一人が対応しなければならない利用者の数が増加するということです。

 ということはですよ、利用者のAさんが職員に向かって「自宅に帰りたい」と帰宅願望を訴えかけているときに、利用者のBさんが同じ職員に向かって「○○さん、あのさあ…」と語りかけてくるわけです。これではとうてい両者に同時対応できませんよね。聖徳太子じゃないんですから。介護職員は。

 

 利用者の無理(過剰)な要求

 こういった人手不足もさることながら、スピーチロックをするのが困難な理由はもう一つあります。それは利用者の無理(過剰)な要求です。

 

 たとえば、緊急の用ではないにもかかわらず、ナースコールを頻繁に鳴らすといったことです。ひどい例では、「部屋の電気のスイッチがどこにあるか分からないから、あんた押しに来て」といったことがありました。こういった迷惑なナースコールに一度や二度対応することは可能です。しかし、それが一度や二度では済まないのです。さすがに私も「ちょっと待っててもらえますか」と言って十回目のナースコール以降は対応しませんでした。

 

おわりに

 今回は介護現場でスピーチロックを禁止することが困難な理由を以下の2つ紹介しました。

 

  •  慢性的な人手不足
  •  利用者の無理(過剰)な要求

 

 もちろん、利用者からの適切な要求には「ちょっと待っててもらっていいですか」と言わない方が理想的な介護なのかもしれません。しかし、介護現場では、利用者の要求に即座に対応できる体制が整備されているわけでは必ずしもありません。また、利用者の要求にすべて対応することが介護職の義務ではないでしょう。そのような状況下で、「スピーチロックはするな!」と指導したり、要求したりすることは現実的なのでしょうか。

 

 今回はここまでにします。それでは。