「自分がされたら嫌なことはしない」ってケアで有効?

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いらすとや

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はじめに

 

介護業界では、利用者にケアを提供する際しばしば「自分がされたら嫌なことはしない」という根拠のない言説が常識のように唱えられます。

 

たしかに、「自分がされて嫌なこと=相手がされて嫌なこと」ことも多少あるでしょう。

 

しかし、その等号が成立しないことも多々あるのではないでしょうか。

 

そこでこの記事では、自分がされて嫌なことが相手がされて嫌なことと必ずしも等号ではないと私が考える理由を説明します。

 

「自分がされたらいやなことはしない」が利用者のケアにとって大して有効ではないと思う理由

 

ではまず仮に「自分がされて嫌なこと=相手がされて嫌なこと」がすべての状況に有効と仮定しましょう。

 

そうすると極端な話、私(ケアの提供者)が自分は排泄介助されるのが嫌だから、相手(利用者)も排泄介助をされるのが嫌だろうと思い、利用者に排泄介助をしないということになります。

 

これは明らかにおかしいでしょう。なぜなら、利用者が排泄介助をしないでほしいという要望を何らかのかたちで提示しているわけでないからです。

 

つまり、利用者は排泄介助をしてほしいかもしれません。

 

したがって、「自分がされて嫌なこと=相手がされて嫌なこと」が全ての状況に有効という仮定は成立しないのです。

 

とすると、「自分がされて嫌なことはしない」というケアの有効性は多少低下する。

 

では、ここでさらに「利用者に有効なケアでなければ、それは『自分がされて嫌なことはしない』という言説に反するケアをしているから」という場合を考えてみましょう。

 

この命題は常に成立するだろうか。もちろん常に成立するわけではありません。

 

たとえば、私が将来食事介助をされるいやだなあと思っているとします。しかし、規則正しく食事をとることは排泄を促したり、生活のリズムを整えるという点でケアとしては有効性をもっています。

 

つまり、先の「利用者に有効なケアでなければ、それは『自分がされて嫌なことはしない』という言説に反するケアをしているから」という命題に反例が存在することになります。

 

したがって、「自分がされたらいやなことはしない」が利用者のケアにとって有効であるかどうかは怪しいと言えるのです。

 

おわりに

今回は「自分がされて嫌なことはしない」という言説が利用者のケアに有効なのかを考察しました。

 

方法として、背理法と、対偶で命題が成立しないことを使用しました。

 

その結果、「自分がされて嫌なことはしない」という言説は利用者のケアにとって対して有効ではないことを述べました。

 

もしよろしければご参考になさってください。

 

それでは。

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